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【次回公演】『獅子の見た夢―戦禍に生きた演劇人たち』2024/4/12〜4/14 俳優座劇場[六本木]

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「今の私」 尾崎節子 11:15
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    鑑賞団体の方々がとても心配下さっている事を知り、有難さに胸が熱くなりました。

    最近はテレビの報道番組をハシゴしてみて、その延長で再放送や、様々のデジタルテクノロジーを使った番組をみて、と、テレビ漬けの日が多くなりました。

    演劇は役者同志が生でぶつかり、又それを客席からお客様が生で味わい、その客席との交流により新たな感動が生まれ、それが大きな魅力なわけですから、大小すべての演劇空間はコロナウイルスが蔓延する、クラスターの危険性が「大」という訳ですネ!

    もう当分演劇に場はないだろう…とその思いが増大して「演劇なんて世の中にとって不必要なものなんだ」と身体中に黒い靄となって広がっていました。

    一月初め、屋形船、観光バス、クルーズ船内の感染者問題が新聞テレビで大きなニュースになっていた頃、私にとってそれは対岸の火事の様なヒトゴトでした。(マクベスの再稽古が始まっていましたが)

    最近はキャストオフになる事も多くなり、私は自身の老化、退化していくのをできるだけ遅くしたいと思いたち、10年程前から友人と二人で主に朗読を中心にした会を続けてきました。今年は四月上旬にミニステージ上演の予定でした。もう一人、商業演劇を中心に活躍してきた友人を客演にお願いして、気に入った美しいチラシも出来上がっていました。場所は赤坂のシアターとは名ばかりのいわゆるライブハウスです。二月下旬にのチラシも発送寸前その友人から「延期すべきだ」という連絡が入りました。商業演劇はどこも客席がまばらで上演中止のところも出てきているというのです。一方、劇団の旅公演は数ステージ始まっており、中止というニュースはまだ入っていませんでした。

    私個人の会はずい分悩みましたが、大阪のライブハウスの様に集団クラスターでも起こしたら大問題です。チラシデザイン料、印刷代、三日間おさえた場所のキャンセル料等々、大きな赤字をかかえますが相談の結果、延期と決めました。日時、場所は未定のままです。間もなく劇団公演は延期となりました。十二月頃の公演と聞いていますが、果たしてどうなりますか…。

    三月に入り区の様々な施設は使用中止、図書館は借りたい本を電話で注文して借りられましたが返却は返却BOXでした。閉館となっている今はもっと借りて置けば良かったと思っています。

    劇団の体操レッスンはまだできていましたが、混雑した電車や新宿駅構内は恐る恐るの状態でした。

    そんな中、映画「パラサイト」と「新聞記者」はどうしてもみたくて、マスク、手袋をしてすいている時間帯に吉祥寺の映画館へ行ってみてきましたが、両方共無理して行って良かったと思っています。

    もう、このころは私がかかわっていた様々なグループも活動中止となり、劇団へも行かなくなり、吉祥寺へ行ったのが最後でした。

    政府はまだ何の対策もとれておらず緊急事態宣言が出されたのはずっとあとでした。しばらくは何のやる気も起きないマイナス思考が続きましたが、とにかく毎日身体と声のトレーニングだけは続けようと思い直し、朝目覚めたらすぐダラダラですが、床の中からヨーガを始め、声も出し、約一時間程のトレーニングは終了。今までなかなか出来なかった家の内、外の雑事、積読状態の沢山の読書、外部出演予定の芝居の台本読み込み、その他、山程やる事はあるのですが、なかなかはかどりません。食事時間はあい間に隣の駅まで散歩と買い物、途中の公園でよその家族や子供たちをみて、只々楽しんでいます。

    もし私が保菌者だったら大変!と接触することをさけ、横目でみているだけ(悲しいですネ)、時々の長電話とメールの送受信、寝起きを共にしているオジサン猫(残念、ネコです)との一方的な会話。この二点だけが他者との交流でしょうか。

    集団が、どちらかというと苦手だと思っていたのですが(劇団活動しているのが不思議なくらい)今はとても劇団が恋しいです。客演者を沢山かかえての公演延期、万一中止となったらどうなるのだろうか、又、又、大きな赤字をかかえて存続の危機が再びか…とマイナスな思いが頭をもたげてきます。でも不思議と我が劇団は過去も何回かの危機を乗り越えてきましたから、今回も大丈夫、必ず喜び合える時はやってくると思っています。アルバイト先との調整がどうなっているのか、若い人達は、今働くことができているのか、それをとてもとても心配しています。旅公演のスケジュールの為にアルバイトを色々と調整して公演にのぞんだ人も居たと思います。今、コロナ対策の為に営業を自粛したり、廃業に追い込まれている店が私の住んでいる街にも沢山あって、街を通るのはとても淋しい気分になります。働く所がなくなっている若者たちの生活はどうなるのでしょう。学生は援助があると今日のテレビニュースではいっていました。では文化活動の一端を荷っている劇団の若者にはどんな支援があるのでしょうか。今や年金の生活者となり、生活費は他のことで少々補えばなんとかなっている私ですが、まだまだこれから先の長い道のりを演劇と共に生きて行こうとしている若い人達はどうなるでのしょうか。

    劇団東演を待っていて下さるお客様は大変ありがたい貴重な存在です。コロナの薬も予防ワクチンもまだはっきり´これ´とは決定できてはいません。生の舞台を造り上げてゆくのを生業としている私達には、次の公演がいつになるのか決定できません。それでもその時が来るのをしっかりとエネルギーを蓄えて、志が衰えない様に待ち続けて行けたら、と思います。

    どうぞ今までと同じように東演の応援をお願い致します。

    尾崎節子

     

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