2020年マクベス千秋楽 | 18:35 |
今からほんの2時間余り前、穂の国とよはし芸術劇場PLAT主ホール舞台上で私たちは温かなエールに溢れた拍手の中にいました。
今はしかし既に、東京へ向かう新幹線の車内に身を置いています。
12月6日に東京を出発して、7日に豊橋で初日を開けた旅が終わってしまったのです。
「やっと東京に戻れるね」
今朝、事務局長の大井さんに声を掛けられて
「いや、寂しいですよ。」
思わず答えていました。
旅公演、旅芝居に憧れてこの世界に入った私にとって旅の終わりはやはり「寂しい」というのが一番素直な気持ちです。今もどこかで途中下車して西行きの列車に乗り直そうかなどという思いもほんの少し…あります。
ただ『ワレリーベリャコーヴィッチのマクベス』は正月休みを終えればまたすぐに始まります。だから、終わりと思わず急速充電期間と思って前向きに過ごそうと思います。
豊橋でのクリスマス3ステージは、7日の初日とは確かに違う成果を出せたと思っています。
各地を廻りながら舞台を重ねて、芝居を熟成させていくのが私達に課せられた仕事でもあるからです。
ベリャさんにもご一緒した旅の途中で何度も言われたことです。
今日の千秋楽、大きなミスなく一つ一つのシーンをきっちり詰めて進んでいましたが、最終局面を前に、もう一歩前に攻めていかなければ昨日までの舞台に負けると感じました。
新しい発見、挑戦、マクベスの感情への回帰…ぴったりハマる言葉が見つかりませんが、自分を奮い立たせて妻の最期の姿に向かって足を踏み出しました。
2021年は1月12日の松本市民劇場から再び始まる予定です。
そこへ繋がる忘れ難い千秋楽となりました。
中部・北陸ブロックの中部域の皆さん、大変な状況の中、私たちを例会にお招きくださり本当にありがとうございました。
会員の皆さんお一人お一人のご健康と、鑑賞会の新たな発展を心からお祈り申し上げます。
能登剛